【在外日本人向け情報#1】改悪?!日本人の一時帰国の免税購入新ルール

旅のあれこれ

海外に長期滞在する日本人にとっては意外に重要な「一時帰国時の消費税免税購入」について、
2023年4月1日から大きく変更されます!!

令和5年4月1日施行の消費税免税制度改正により、一時帰国の際の免税購入が今までの方法ではできなくなります。

ここでは、海外在住日本人の一時帰国の際の免税購入に限定して、変更点や必要な書類等を徹底解説します!

消費税免税制度の変更点<2023年4月1日>

消費税免税購入のなにが変わったの?

ということで、

簡単に言うと消費税免税制度も元になる法律「外国為替及び外国貿易法(外為法)」が改正されたことにより、免税購入できる海外在住日本人の条件が厳格になりました。

1.海外在住日本人の定義が明確に

今回の外為法の改正により
海外在住日本人(外為法では「日本国籍を有する非居住者」)の定義が明確化されました。

観光庁HP 免税対象者引用

つまり、免税購入できる海外在住日本人は、海外での居住歴が2年以上あること。

この「2年以上の海外居住歴」を証明する書類として、
①在留証明書 または ②戸籍の附票の写し が必須となります。

今までのように海外に在住していることがわかる在住国のワーキングビザやレジデンスカードなどの提示だけでは免税購入ができなくなります。

また、日本から駐在員の方などで任期が2年以内の人は、対象外となるため一時帰国時の免税購入ができなくなります。

2.出国時のパスポートスキャンが必須に

免税購入といえば、

①各店舗で購入レシートを旅券にホッチキス止め&免税割印

②空港の出国税関でレシートを箱に入れる


でしたよね。

この一連の流れはすでに廃止されていて、今はこんな流れになっています!

①各店舗で購入レシートを旅券にホッチキス止め&免税割印 
   ⇒ 免税購入品はすべて購入店舗で電子登録(旅券にレシートは貼られません。)

②空港の出国税関でレシートを箱に入れる 
   ⇒ 「出国税関に設置ある電子端末にパスポートをスキャン」に変更

この出国時のパスポートスキャンをすることにより免税購入者が日本を出国したことを税関が確認するそうです。

今年の1月、一時帰国した際に消費免税購入で食料品や日用品をまとめ買いしたので、出国の際、税関でこのパスポートスキャンをしました。

注意点は、空港の出国税関場で外国人免税購入者へのアナウンスはされていますが、海外在住日本人への案内がされていません。ここでパスポートスキャンを忘れると国税局の税務調査などの対象になりかねませんので、パスポートスキャンを忘れないようにしましょう!

「2年以上の海外居住歴」を証明する書類

前述のとおり、在外日本人が一時帰国時に消費税免税購入をするために
「2年以上の海外居住歴」を証明する書類が必要です。

観光庁HP TAX FREE案内引用

①在留証明書 ②戸籍の附票 の取得方法についてそれぞれ解説します。

【どちらを用意するか??】 ですが、人によっては一択しかない場合もありますので、自身の状況に合わせて選ぶといいかと思います。

(あくまでも参考ですが、以下は考えられるケースの一部です。)
・現在も日本に住民票を残しまま海外移住した人
・本籍地のある市区町村が滞在先から遠い人
  ⇒①在留証明書

・住民票を抜いている、かつ一時帰国時の滞在先が本籍地のある市区町村の人
・住民票を抜いている、かつ2年以内に海外居住先が国を跨いで変わっている人
  ⇒②戸籍の附票

①在留証明書

在留証明書は、現在住んでいる国にある日本大使館、領事館で一時帰国をする前に事前に申請、取得しておく必要があります。

消費税免税利用のために申請することを前提に、外務省ホームページ案内を参考に申請方法などを分かりやすく解説します。
(※各国の事情により大使館、領事館の対応は異なるようですので事前にお住いの大使館、領事館へお問い合わせください。)

<発給条件>
・日本国籍を有していること
在留届を申請先の大使館、領事館に提出済みであること
・現地に既に2年以上滞在し、現在居住していること
・原則、申請人本人が窓口で申請すること

<必要書類>
・日本のパスポート
・住所を確認できる文書

 (例:現地の官公署が発行する滞在許可証、運転免許証、納税証明書、公共料金の請求書等で住所の記載があるもの、現地の警察が発行した居住証明等)
・滞在開始時期(年月日)を確認できるもの ←出入国スタンプやビザ等
・戸籍謄本(全部事項証明)または戸籍抄本(個人事項証明)

 ※基本的に発行から3カ月以内のもの、コピー可
 ※消費税免税用の在留証明書は、証明書の「本籍地」欄に本籍地住所の番地までの記載が必須のため、戸籍謄本/抄本が必要なのだそうです。
・手数料 支払は現地通貨で1通につき1,200円相当(カンボジアの場合は35,000リエル)

申請から発給・交付までの日数は、大使館、領事館によって異なりますが、長くても申請日から起算して2,3日程度のようです。ちなみに在カンボジア日本大使館の場合は、申請日の翌日交付です。

観光庁HP 消費免税購入用の在留証明書サンプル引用
カンボジアに住む身として個人的に難易度高いなと思う点が、現住所を確認できる文書と滞在開始時期年月日を確認できるものです。
カンボジアはビザやワークパーミットカード、運転免許証等の身分証に現住所の表記がないのです…。アパートメント住みだと電気代もアパートメント1棟まとめて大家名で請求だったりするので…。
在カンボジア大使館・領事館では賃貸借契約書でも大丈夫だそうですので、賃貸借契約書にしようかなと思います。

②戸籍の附票

まず、「戸籍の附票」ってなに? って人が多いと思います。

簡単に言うと「その人の居住歴が記録されたもの」です。つまり、過去の居住先の住所の一覧です。

ここで注意が必要な点が1点!

住民票を日本に置いたまま海外移住した人は、戸籍の附票で海外在住歴を証明できませんので、消費税免税の際に「戸籍の附票」は使用できません。
この場合は在留証明書を取得する必要があります。

さて、戸籍の附票の申請先は、日本国内の自身の本籍地のある市区町村役場です。
在留証明書と異なり、大使館、領事館では申請できません。
また、実家の住所や一時帰国の際の滞在先から本籍地までが遠い方なども不便なので在留証明書を取得する方が便利です。

<必要書類>
自動車運転免許証、パスポートなど写真付きの本人確認書類
・手数料 1通につき300~500円 ※市区町村役場によって異なります。

ほとんどの市区町村役場は即日発給です。市区町村によってはコンビニ交付も対応しているようですが、住民票を抜いているとマイナンバーカードは停止しているので、コンビニ交付は利用できません(本当に不便…)。

観光庁HP 戸籍の附票サンプル引用

今後の動向

消費税免税制度のルール変更は、免税購入品を日本国内で転売する人や一部の外国人が悪用する事例があったことから厳しくなったと思われます。

日本政府としては外国人に来てお金を落としてほしいと思っているので、免税制度がなくなることはないと思いますが、今後もっと運用ルールが厳しくなることは可能性としてゼロではないと思います(あくまで個人の見解です)。

一方で、2023年4月1日からは外国人向けにVisit Japan Webを利用して事前に消費税免税購入の購入者情報を事前登録し、利用店舗でQRコードを提示するサービスが始まります。

これは、免税購入時に店舗側が電子登録する際に、今までパスポートと入国シールを確認し手入力していましたが、購入者の提示するQRコードをスキャンするだけになり、店舗側も購入者側も時間短縮になる素敵な制度です。(日本に住んでいた頃のバイト先が免税取扱店だったので、この作業地味に面倒でした。)

観光庁HP TAX FREE案内引用

このサービスについても今後、海外在住日本人の免税購入時にも導入されるかもしれません。そうなると、パスポートを持ち歩く必要もなく、免税購入時のレジでの説明(一時帰国者です、滞在ビザはコレで出国チケットは…という毎回の説明は本当に大変。)や手続きの待ち時間が短縮されるかもしれません。悪くなるばかりでないことを期待したいですね。